2020-01-01から1年間の記事一覧

2020/03/23 パンデミック雑感

新型コロナウィルスの政府のうちだす対策について、政府が明確な指針や基準(そしてそれによる影響に対する政策的フォロー)を打ち出さないことによる混乱が指摘されはじめている。これは新型コロナウィルス対策だけではなく、自民党政権以降の福島の原発事…

2020/03/20 構造が見えること

宮地尚子『環状島=トラウマの地政学』を読み終えて、Twitterに簡単に感想とも呼べないメモを置いた。 環状島=トラウマの地政学 【新装版】www.amazon.co.jp 3,520円(2020年03月21日 00:36時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 自分でこれを書いたあ…

宮地尚子『環状島=トラウマの地政学』

宮地尚子氏のことを知ったのは、今年の『みすず』1・2月合併号読書アンケートのなかに、私の『海を撃つ』を取り上げてくださっていたからだった。専門領域も存じ上げないで、どういった方が自分の本に関心を持ってくださったんだろうか、と思っていたときに、…

2020/03/20 いわれのない差別

お役所仕事の不思議なことのひとつは、どう考えても論理的におかしな用語をいつまでも使い続けることだ。「いわれのない差別はやめましょう」という言葉がしばしば聞かれるのだが、冒頭につけられた「いわれのない」はまったく意味をなしておらず、そもそも…

めでたさも中くらいなりおらが春。

めでたさに湧く常磐線開通の報をなんとなく居心地わるく眺めている。生活の利便という点から言えば、南相馬と水戸に親戚が住まっているわが家にとっての恩恵は大きく、素直に助かる。年寄りは、対面通行の高速道路の運転は心配を覚える年齢になっているし、…

14時46分の日常

今年は新型コロナウィルス騒動もあって、震災が話題になることが少なく、とりわけ風化を感じるという声も多く聞かれるが、こと原発事故にかんしては、私は、これはよい風化であるようにと感じている。というのは、これまで口を閉ざして語らなかった人がポツ…

帰還困難区域における防護服の着用について

しばしばSNS上でマスコミ批判として使われる帰還困難区域の立入の際に着用される防護服の映像についてだが、マスコミが意図的にその映像を撮って流しているとの誤解が広く見受けられるので、記載しておく。まず、住民以外の人間が仕事によって一時的な立入を…

2020/03/08 心穏やかな日々

朝から雨、曇天の肌寒い日だというのに、窓の外から見える庭には、ジョウビタキ、セキレイ、それからヒヨドリが入れ替わり立ち替わりやってくる。北側の窓からは梅が満開、ヒヨドリが花蜜をついばんでいる。じっと見つめていると、慌てたように飛び立って、…

2020/03/07 除染土のゆくえ

2020年3月6日付けで、環境省の大臣室などに中間貯蔵施設に運び込まれた除染土を鉢植えに入れて飾ったというニュースが報じられた。 誰の思いつきなのかわからない、大臣本人なのか、もしかすると環境省の人間のアイデアかもしれない。それがどちらであったと…

2020/03/04 君に

あなたのことを親愛の情を込めて「君」と呼ぶことをゆるしてもらえるだろうか。いや、許可をもらう必要はないのかもしれない。これは君に宛てた、けれど決して差し出すことのない手紙なのだから。君と私がどういう関係であったのかを説明するのは難しい。時…

封鎖都市の記憶

屋内退避区域、または、2011年4月21日以降には緊急時避難準備区域と呼ばれるようになった区域は、おおむね東京電力福島第一原子力発電所から半径20〜30km圏になる。日本政府は、不測の事態が発生した時に自力で避難することができる健康な成人のみそこに居住…

2020/02/29 ルビコン川

あの時も「学校」だったな。内閣参与が涙の記者会見をした日のことを思い出していた。もっとも当時我が家はテレビをつないでいなかったので、写真と文字報道によってしか知らないのだけれど、でもなぜだか涙の瞬間にたかれた大量のフラッシュの音まで記憶に…

附記

この記事を書いたあとに、安倍総理が小中学校に休校「要請」を打ち出したとのことで、脱力してしまった。先の記事には、政府対応については触れなかった。政府対応も冗談のように原発事故の後をなぞっている。ただ違うのは、当時の政権には巧拙の問題はあっ…

SNSの集団心理

新型コロナウィルスの騒ぎで、Twitterから距離を置くと書いている人が散見されるが、もっともな判断だ。原発事故後の騒動とうりふたつの騒ぎが繰り返されるのを見て、あたかも混乱時の人間の社会心理がどのように推移するかの再現実験をみているかのような感…

2020/02/27 梅に霰

確定申告の作業すべて終了。書類を提出してほっとしたところで、確定申告の提出期限を一ヶ月延長するとの速報ニュース。自分にはもう関係のないニュースだと見出しだけ読み流す。ソファに腰掛けてぼんやりと窓から外を眺めていると、いやに温かった今年の冬…

掲載誌お知らせ

朝日新聞社の『Journalism』という雑誌の2月号に、福島第一原発の「水」問題について寄稿しました。電子書籍もありますので、ご興味をお持ちの方はお読みいただけると幸いです。 リンクこういう時事問題的な原発事故関係の話題を書くときは、文章の書き方を…

マツモの酢の物

マツモという海藻がある。形状が松の葉に似ているから、その名がある。生の状態では褐色なのだが、お湯をさっとかけると鮮やかな緑色に変わり、なるほど松の緑によく似て見える。細く噛むと繊細な歯ごたえがある。少しばかりぬめりもあり、かすかな潮の香り…

Men explains things to me

冒頭のエピソードだけ読んで積ん読本になっているのだが、レベッカ・ソルニットに『説教したがる男たち』という著書がある。たまたま同席した初対面の男性が著者ソルニット(女性)に対して、最近読んだ興味深い本の解説を、まさにその本の著者本人であるソ…

「風評」をめぐる世論と報道の共犯関係

もはや聞き飽きるほど耳にしている「風評被害」の経済的側面の実態については、いくつかの信頼できる調査によって、その実態の輪郭線がおおよそ見えてきたように思う。(https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf…

小委員会傍聴

たまたま都内に出かける用事があった翌日に、経産省の汚染水の審議会が開かれることになっていたので、傍聴に寄ってみることにした。報道で繰り返し伝えられている小委員会で、今回が最終であるということで、傍聴席は満席とまではいかずともかなりが埋まっ…

大衆の不満の総和量

昔、『説経節』を読んだ時に、大衆のルサンチマンのカタルシス的発露にひどく衝撃を受けた。『説経節』は、大衆芸能のひとつで語りもの文芸とも言われる。現在残っているものは、充分に芸能化し整った形となっているが、それでも、謡曲など作り手側の意図が…

うん、うん。

わかります、ではなく、同意や共感を示す言葉を見つけたいと思っているけれど、なかなか見つからない。わかったような気がしても、ほんとうはきっとわかっていない。わかっていなかったことに後から気づいて、ああやっぱりわかっていなかったんだ、と思う。…

国と力と栄えとは限りなく汝のものなればなり

見るだけで気力が萎えてしまう言葉があって、ここのところは「ゆるせない」がその筆頭になる。あちらこちらで、いろんな人の「ゆるせない」を聞きすぎたせいだろうと思う。震災後最初に聞いてよく覚えているのは、東京でのとある飲み会だった。初対面の福島…

その数値は高いのか、低いのか

たいていの人はもう考えるのを止めてしまったのだろうけれど、いまでも、この数値は高いのか、低いのか、と考え込む。たとえば、3μSv/h という数字を見て、多くの人はどう判断するのだろうか。原発事故に関心をもたないで来た人には、判断のつかないただの数…

ひとりぼっち、というわけではないけれど

ひょんなことからSNSで目立つようなポジションになってしまって、SNSのよい面も悪い面も同じくらい身にしみて知っている、という理由で、自分の現実での交友関係はSNSでは言及しないようにしている。私の場合は、陰謀論的な意味合いでしつこくつきまとってい…