2020/02/27 梅に霰

確定申告の作業すべて終了。書類を提出してほっとしたところで、確定申告の提出期限を一ヶ月延長するとの速報ニュース。自分にはもう関係のないニュースだと見出しだけ読み流す。ソファに腰掛けてぼんやりと窓から外を眺めていると、いやに温かった今年の冬には珍しい黒い雪雲から、白いものが鉛直から少し斜め角度をつけて降りそそいでくる。バラバラバラ、と地面に打ち付ける乾いた音。霰だ。咲きはじめた梅の花にも白い小さな玉が落ちる。すぐに降りやみ、静寂。やがて今度はゆらゆらと綿のような雪が舞いはじめた。窓ガラスから見える視界いっぱいに覆ったかと思うとぴたりと止んだ。そして何事もなかったかのような冬ざれの木々。激動の時代か、となんとなく呟き、「人間とは」「世界とは」と、私が独り言のようにはじめる会話の主語が大きすぎると家人にしばしばクレームを入れられることを思い出していた。窓際の花瓶に生けてある先々週の葬儀の帰りに香典返しと一緒にもらってきたチューリップの花弁はすべて反り返り、中央のおしべがそりたって見える。雪雲の切れ間から青空がのぞく間に庭の隅に捨てに行こう。