そこから先へは行ってはいけない。 黒い海が、なにもかも、奪っていってしまったから。 「オレは気にしね。そんなの気になんね。」 そう言う叔父の家は訪れるといつも卓の上に一升瓶か、紙パックの焼酎がおかれていて、重機オペレーターの日焼け顔にほんのり…
それは、湿度をたっぷりと孕んだ梅雨の終わりの大気とともに、揺らいでいる。 手を差し出して、その山並みを、二の腕で抱きしめることができたなら。 手元の線量計は、デジタル表示の最大値を超え、点滅を繰り返した。 ホタルブクロは、ひそやかな道標のよう…
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