2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

■(私的弔辞) 不在宅の冷え切った床の間で、若い住職の読経は、ときおり、学生の応援団の喚声のように聞こえ、たちこめる焼香の煙と不釣り合いに、それでも、皆、粛然とした表情を崩しもせず、法要は続いた。 訃報が届いた日、私は、海辺の町の小学校の教室…

■わるいゆめ

悪夢を見た朝は、いつまでも、居心地の悪い感触が抜けきらない。 あれは夢、これは現実、そんな事はわかっている、しかし、いつまでも、そのあわいに漂っている。 不意に現実感が脱落し、宙ぶらりんに吊されているような感覚、悪夢はそれに似ている。 仮置き…

■非可視化

なぜこのようなことを? と、問われ、言葉に窮するのは、それに対する、社会的に適切な回答を、私が持ち合わせないからだ。 夢想好きの、無用者なりの回答は、自分の中に、明確に持っているけれど、それは、誰にも言わない。 いちばん、大切なものは、誰にも…