2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

■いささか、

萌黄、とはよくいったもの。 ひかりたゆたう季を前に、先陣を切って花ひらくのは、きいろの、フクジュソウの、サンシュユの、ミツマタの、ついで、白色の花々がひらくと、もう、確かに、季節は移ったのだと、なにもかもがまばゆいあの時季がおとずれるのだ、…

■黙祷

魂の平安を。

■波風

なるべく穏やかに、何事もなかったかのように、できるだけ静かに、その日を迎えようと、呼吸をととのえているにもかかわらず、ときおり、心は波立つ。 夕食時、家人が病院の待合室で見たテレビ番組のことを話すものだから、ざわざわとうごくきもちをとめられ…

追想私記

もう何年も前の事になる。 昼下がり、いや、既に日が西へ向かって傾きかけていた時刻だったろう、彼女からの電話がかかってきたのは。 それは、ひどく唐突な電話であったため、私は、困惑を隠せないまま、会話を続けたはずだ。 どのような用件から始まったの…