2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

辺見庸『もの喰う人びと』の中に、チェルノブイリの立入り禁止区域の民家を訪れ、食卓を共にするエピソードがあったと記憶している。 彼の漢語を多用した文体と相俟って、今にして思えば、戯画的と思えるほどに悲壮感と覚悟に満ちた描写であったが、彼が現地…

春の雨が、絹糸のように、天から降りる夜。 しなやかでやわらかな雨だれは、地をあたため、冬の間にいのちをたくわえた木々はそれに応える。 あえかな芽吹きは、たちまちに色濃い緑に染まる。 水と植物の饗応。 この雨は、ゲートの向こうにも降り注ぐ。 植物…