■グラウンドゼロ

 言葉が剥落し、あらゆる意味が無化し、剥き出しの現実があらわになる。
 グラウンドゼロ。
 どのような言葉もそこでは空虚であり、人は黙し、眼差しを交わすことさえない。
 耳を澄ましても、底なしの静寂。
 どれだけ意味を纏い、言葉を重ねようとも、くりかえしくりかえし、そこへ再帰するだろう。
 鎖縛された一頭の犬のように。
 あるいは、繋がれたことに気づきもせず、ただ吠え声を虚空に響かせるのか。
 これが現実なのだ、と。

 この現実を、慈しみ、愛おしめ。