グローバリズム雑感

本日の全日程終了。南フランスが会場だったせいだと思うのだが、朝8時半から夕方6時まで開催されるうちの合計で3時間以上は昼食とコーヒーブレイクの時間に費やされ、その後、夕食は20時から22時過ぎまで続くという、飲食に費やす時間が異様に多い日程だった。昼食は15分程度で済ませることが普通だと言っていたノルウェー人などは苦痛ではないのだろうか。昼食にたっぷり2時間は驚く。パリでもディナーは20時以降が普通なのだとは言っていたが。(以前、フランス人が日本に来ていた時に夕食の集合時間を18時半にしようとすると早すぎる、と言われたことがある。) 

こうした外国の集まりに来るたびに、「グローバリズム」ということについて考える。もちろん私がこうした集まりに来ることができるのはグローバリズムの恩恵であるし、そもそもで言えば、「ダイアログ」という出来事そのものがグローバリズムの恩恵そのものであるとも言える。ダイアログは日本国内の企画であるから、国内仕様に設定しているし、参加する外国人も現地の姿勢を尊重することを基本方針としているので、ある意味、さほど大きな摩擦や軋轢もなくグローバリズムのよいところだけをうまく取り入れることができているのではないかと思う。

一方、国外に出て、今回のように全ヨーロッパの集まりに来てみると、その急激とも言えるスピード感とさまざまな動きのダイナミズムについていくのは、相当な能力とタフさが必要とされるだろうとも思う。こうした会議に参加するのは、少なくとも知的なエリート層であり、グローバリズム世界を渡り歩いていける人たちではあるけれど、それでも、大変そうであると思うこともある。これが、そうした階層でない人びとであれば、到底、こうした異文化と非母語を用いて交渉していくような動きについていくのは困難であろうし、そのことにより国内の貧富の差が拡大しているのであれば、負の側面ばかりが感じられることになるだろうとも思う。

雑談の時に、フランスのある研究者が、イエロージャケット運動について、「あの運動が起きるまで、自分は国内にああした生活に困窮している人たちがいることにまったく気づいていなかった。それくらいフランス国内は分断が進んでいた。ほとんど会話をすることができないくらいだ。」と言っていた。気づいたら驚くほど社会の分断ー都市/田舎、地方/首都、職業、教育レベルなどーは進んでいた、ということのようだった。

聞きかじりのフランスの状況に比べれば、日本はまだだいぶマシであるように見えるが、もしかすると、それは単に言語障壁と地理的、経済的な状況のおかげでグローバリズムの波に襲われる時期が遅かったからだけで、この先同じような状況が訪れるのかもしれない。そうだとすれば、国内の少子高齢化などの問題とはまた別に、タフな状況だろうと感じる。