深い淵にしずんでしまう心を扱いかねて、あがくような、のたうちまわるような、そんな心象風景をどこかに投げ捨てるために、ただ静かに穏やかに、と祈りの言葉をつぶやくのに、そのたびごとに、だれにも触れられないのだと、思い知らされる。
 陽差しはあかるく、ミツマタが寒気を癒してつぼみを膨らませ、もうすぐ、もうすぐ、まったき季節が訪れる。