2:方法として今後も使えそうな部分
今回の勉強会スタイルでは、科学知識のやり取りの手法としては、有効な部分がいくつかあったと思います。
勉強会の方式としては、「対話スタイル」を目指しました。
ただ、「対話」と言っても、集まった人間が三々五々に質問したのでは、人数が4〜5人なら対応できても、それ以上になると収集が付かなくなる事が予測できたので、以下のように事前に準備をしました。
進行の方法については、小学校などの授業計画で使われる手法のようですが、非常に使い勝手がよいものでした。(@okami_sakanayaさんの助言です)
A 事前準備
・勉強会の対象を選ぶ
→元もと面識のある関係性の中での開催を企図。お互い顔見知りの方が発言しやすく、雰囲気もよいだろうと。結果的に成功。
・現状の認識
→主催者が同じ地域に属する人間であったので、地域の事情に即した企画が可能であった。
・事前アンケート配布
→地域の事情がより詳細に把握可能となった。
B 進行方法
・勉強会の入口と出口の設定に基づいて進行を計画
→資料に載せた「企画案」の「4勉強会内容具体案」の「■ねらい」「■地域の実態」「■予想される反応」が該当。
・進行を意識したアンケート質問の設定
→「■地域の実態」⇒「■予想される反応」へ導くための、具体化プロセスとしてアンケート設問を考える。
・アンケート結果に基づいて進行表を作成
→あらかじめ出てくるであろう質問をピックアップし、進行の中へいれておく。
※講師の先生の資料の事前準備、円滑に進行を進めるために非常に有効だった。また、主催者側から先生へぜひ解説をお願いしたい項目をあらかじめ要望としていれておく事によって、情報のミスマッチを最小限に抑えることができた。
C 勉強会内容
・冒頭に参加者全員が自己紹介
→名前と今回の勉強会に期待すること、などを述べてもらった。互いに放射線についてどのような姿勢なのか、何を考えているのか、会場内で共有できて、非常によかった。
・アンケート結果を紹介しながら進行
→他の人が何を考えているか、というのは、参加者にとっても非常に関心が高い。こちらも自己紹介同様、非常に有効だった。
・司会が講師と聴衆の間を橋渡しする
→講師の説明を聴衆が理解できていないと感じたら、逐次質問、言い直して講師に再確認。逆に会場の質問がわかりにくいものだった場合は、整理して再質問。その結果、理解の齟齬は少ないものだったと思う。
上記の方法で、得られた結果
・会場内で、質問が自発的に出るなど、聞きたいことが聞ける雰囲気になった。
・講師と会場の間に、司会が適時介入することによって、理解の齟齬は最小限に抑えられたと思う。
会場は、聞きたいことが聞け、講師は、言いたいことが言えた、という状況に近いと感じる。
・知識のやりとり、という面では、かなり効果的であったと思う。
問題点
・講師の先生の準備の手間。
会場からのイレギュラーな質問にも対応するために、今回、水野先生は160枚に及ぶスライド資料を事前準備されていた。こういう勉強会は、本業の合間にお願いするものであり、過大な負担がかかるものになると、講師の引き受け手自体が見つかりにくくなる。
事前準備の過程でも、何度もメールで事前確認をお願いして、お手間を取らせてしまった。
・進行役の問題。
今回、進行役を務めた私は、以前からずっと水野先生のツイートを拝読しており、先生の仰りたいことのポイントは事前にほぼ掴めていた。また、地元の人間であることから、地域の人の様子にも詳しかった。加えて、自称「ホーシャノー検定科学篇1級合格者」を自認する程度には、放射線問題についての状況を把握していた。これらの要素をすべて兼ね備えていたから、円滑な進行ができたと思うが、どこででもこの条件を満たす進行役が見つかるかどうかは、難しいところと思う。
・参加者の反応
聴衆は、おそらく講師の先生の説明をよく理解していたし、自分の聞きたいことも聞け、また、先生の側でも説明したいことは説明できた という面で、かなり有意義な会であったと思う。
だが、主催者から見て、勉強会終了後の、参加者の満足度は、悪くはないものの、よいものであるとも思えなかった。