新世紀へようこそ

 
 あれから、ずっと、言葉を探している。
 頭の中で、何度も、これだと思う言葉を反芻している。
 けれど、文字におとして見ると、やはり違うのだ。
 だから、また、探し続ける。
 私は、新しい言葉を、探し続けなくてはならない。


 今、私の置かれている状況は、コラージュ画に似ている。
 私の世界像は、無数に切り裂かれ、ある箇所は元の姿のままであるのに、ある箇所は無残に破壊し尽くされ、ある箇所は永遠に失われ、ある箇所からは現在進行形で何かが失われ続けている。
 それは、無雑作と言うには、あまりに暴力的で、ひとつのフレームに留めるには、あまりに多くのものを孕んでいる。
 私は、それを、修復し、再構成し、ふたたび、(新しく)、穏やかな姿に置き直さねばならない。


 どのように?
 どのようにして、それは可能となるのか?
 問えば問うほど、コラージュ画は複雑となり、混沌とし始める。
 だが、それでも、問わねばならないのだろう。
 どのようにして、それは可能となるのか?


 わずかでも、問いが、糸口を掴む見込みがあるならば、私はこう言いたい。


 新世紀へようこそ、
 ここが世界の先端だ。


 今はまだ、私自身にも、芝居がかった言葉としか思えない。
 だから、下を向いて、誰にも聞こえないよう小声で呟く。
 自分自身に、言い聞かせるように。


 新世紀へようこそ、
 ここが世界の先端だ。