日記に名前を

 今、何が起きているのか、自分自身が何を感じているのか、可能な限り、可視化してみたいと思った。
 それが目に見えないから怖ろしいと言い、将来どうなるかわからないから恐いのだ、と言う。
 違う。
 問題は物質そのものではなく、未来でもない。
 人が何かを恐れるのは、今現在が見えていないからだ。
 自分自身を、周囲を見渡す事ができないからだ。
 ならば、可視化する事。

 今回の騒動は、一部の地域に拭い難い爪痕を残すだろう。
 可視化されない傷跡は、おそらく、無残なままに放置され、傷跡の上に上等とも見えない忘却の覆いを被せるのだろう。
 時代とは、そのように無慈悲なもの。
 修復されない傷跡はそのままに、人は目の前の雑事に追われる事で、忘却する事が可能となる。

 記憶する事。
 可視化する事。
 時代に抗する事。

 私に出来るかもしれないこと、可視化の試み。