アーレントの『全体主義の起源』3巻を読み直している。
 私がこの1,2年、直面してきたものの多くについて明晰に述べられていることに驚くとともに、深く安堵する。言語化することを躊躇ってきたことが多くある。予言の成就を願っているのではないか、という自分自身への反問に明確な答えを出せるだけの余裕がなかった。舌先に引っかかった言葉をのみ込み、砂を噛む、そんなことを繰り返してきた。しかし、アーレントがもはや包み隠すことなく露わにしているのであるならば、私が躊躇う理由もないのだろう。私が感じていたことを、やがてアーレントと話してみたい。語りうる他者がいることの喜びは、何者にも代え難い。